物盗られ妄想の母の事。2
母の話の続きです。
その前から、少し母の思い込みが激しいことは気になっていました。
けれど、母が少しおかしくなっている、とは私も認めたく無い気持ちが強く、母の言うことを信じるしかありませんでした。
家の中の物があれもこれも無くなり、疑心暗鬼の母は、警察に依頼し、家の中のいろいろな場所の指紋を採取してもらいました。
そして、その最中に私を呼び出し、あわてて駆けつけた私に、今度は警察の方を泥棒だと騒いだりしました。
母が説明のために、数人の警察の方と家の奥に入った隙に、玄関ホールに残った警察官が、部屋の中に入り込み、タンスの中にしまってあった、家の権利書関係の書類を隠したのだと。
今思えば、完全に物盗られ妄想だと分かるのですが、その当時は私も混乱するばかりでした。
母は、物が無いとなると、犯人は誰で、いつ、どのような手口で物を盗んでいったかを、まるで見ていたかのように具体的に語るのです。
それを聞くと、私も、違和感を感じながらも、ああなるほどな。と納得してしまっていたのです。
見ていない物事を、まるで見ていたかのように語ること自体が、「 妄想」だと、その時の私には分かりませんでした。
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